大正デモグラフィ 歴史人口学でみた狭間の時代
速水 融 /小嶋 美代子
文藝春秋 刊
発売日 2004-01-21
価格:¥756(税込)
トリビア的におもしろい 2005-03-16
狭間の時代である大正期を、統計上は現代日本の原形ができた時代であることを示す、興味深い一冊。大正時代の識字率や読書層の状況、平時で最も多くの人が亡くなった年とその理由、1月生まれと3月生まれが突出して高い事情、ねえやは普通15ではヨメにいかなかったこと。兵隊さんは戦死よりも戦病死(インフルエンザ)が多かったこと。雑学的にとてもおもしろい。また、統計資料の精査の方法、歴史資料として用いる場合の限界など、丁寧にフォローされており、参考になる。難をいうなら、大正期の世相の説明と統計上の分析記述の間に、質的に大きな違いがあることだ。正直、社会の概観を示した部分は、他の部分と比較して文章に硬さがあり、内容も深みに欠ける。もちろん、新書一冊ですべてを語ることは不可能なのだが、この点で本書が全体としてばらついた印象になってしまった。もう一点、人口学の専門家には畑違いかもしれないが、なぜ国家は統計を取りたがるのか、人口や年齢、家族状況だけでなくそれ以上のこまごまとしたデータを集める意味は何なのかを、概観してもらえればおもしろかったかもしれない。
デモクラシーとデモグラフィ 2004-03-02
「デモグラフィ」とは、出生・死亡などに関する人口統計全体や、或いは人口の研究を指す言葉である。 大正という年号に含まれる時期は、明治・昭和という長期間続いた年号の狭間にあるだけに、軽く考えられてしまう傾向がある。しかしこの本は、「人口」という視点から、大正期がいかに激動の時代であったかということを検証していく。本籍人口と現住人口・男女比率・死亡率……など、基礎的なデータを考察することで、「大正」という時代に対してなんとなく抱いていたイメージが見事に訂正されてしまった。ただ、後書きで書かれているように、筆者ご自身は大正期研究の専門家というわけではなく、本文には他研究からの引用が占める割合も多い。それでも、筆者の問題意識がそうさせるのだろうが、大正期に限らない人口学自体への興味も広げてくれる点でお得な一冊である。
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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