「在外」日本人
柳原 和子
晶文社 刊
発売日 1994-10
価格:¥2,957(税込)
海外で働くという視点を、新たに供給した大作 2005-11-13
~宇宙コンサルタントから精神科医まで、養鶏業者から博物館研究者まで、ありとあらゆる分野の職業を持つ人をインタビューの対象にしている。インタビューされる人の共通項は「在外」であるということだ。出版当時、「在外」という言葉はまだ非常に新鮮で、海外居住邦人の参政権すら認められていなかったほどである。職業上の特技を身につけ、大変な労苦を惜し~~まず海外で働く人々の姿が、本書によって鮮やかに浮き彫りになった。現代においては、本書執筆当時に萌芽期だったインターネットが全盛を迎え、携帯電話さえ国内外の境界がなくなりつつある。在外勤務も珍しいことではなくなり、日本人居留の多い都市では、海外赴任のパッケージが充実したものとなりつつある。本書は、ITがここまで発達した以前に海外で仕~~事をする邦人の模様を眺めたもので、近現代史の一面を書き留める重要な史料ともなろう。なお評者は、大学院生時代に本書を読み通して大きな感銘を受け、海外で働く道を模索してきた。それがようやく叶い、海外居留となった。本書が私の人生の先導者となったのはいうまでもない。~
「在外日本人」という斬新なコンセプトによる労作 2004-11-19
初版は10年前、書店でタイトルが目に入った。「在外日本人」。とても新鮮だった。我々はよく在日外国人という言葉を良く使う。しかし、在外日本人という「概念」を作りだしたのはこの著者柳原良子氏が初めてだろう。この言葉にはただ単に観光旅行や仕事の出張者は含まれていない。あくまで、外国で生活をしている日本人、という意味合いが強い。それがいまや300万人というのだから驚く。45カ国100人を超す在外日本人の物語。全部が全部面白かったとは言わない。しかし、その総体は、こんな日本人がいたのか、こんな生き方もあったのかと分厚い本だったけどとても刺激的で面白かった。とくに会社の駐在員の人より、文字通り、組織とは関係なく生きている人たちの人生が面白い。どれかひとつ例をあげるのは難しい。こんな日本人もいるんだという、勇気付けられる、日本人の可能性を感じさせられるものがかなりあった。柳原さんは400を越す取材から108の話に絞り込んだらしい。なんという執念か。この労作を書き上げるための日々に拍手を送るとともに感謝したい。柳原氏はその後、若くしてガンを患いいまも闘病されていると聞く。そんなかで今度は「ガン患者学」という本も出された。強い人だ。地味な本だが、タイトル通りさまざまな「在外」日本」の生き方が発見できる。分厚くても一話は簡潔だ。是非、読んでみてください。
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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