データで検証!地球の資源ウソ・ホント―エネルギー、食糧から水資源まで
井田 徹治
講談社 刊
発売日 2001-01
価格:¥987(税込)
我々はいつも漠然と地球環境について不安を抱いている。石油は近い将来に枯渇し、我々は電気を今までのように使えなくなるのではないか。石油に代わる新エネルギーの開発は本当に間に合うのか。地球の温暖化による環境変動で水や食糧問題が深刻化するのではないか、など不安な点を挙げれば枚挙にいとまがない。しかし、我々は実際のところどこまでこのような問題について知っているだろうか。しっかりとデータに基づいて地球環境の現状を把握しているだろうか。
本書はまさにそれに答えてくれる。本書の特徴は単なる「おはなし」ではなく、具体的にデータを用いて地球環境の現状を提示してくれる点である。著者は共同通信社の科学部の記者として地球科学や環境問題を担当し、数々の環境問題に関する国際会議を取材してきた経験の持ち主。著者自身の足と身体で得た情報を、豊富なデータを用いてクリアに解説してくれる。データや情報が多い本だと、我々はデータの海におぼれがちで、データが示す本質がわかりにくいことが多いが、本書では「ほんとうに石油はあと40年でなくなってしまうのか?」などのトピックごとに「Q&A方式」でまとめてあり、最初から通して読まなくても知りたい情報を得ることができる。
本書はその半分がエネルギー問題(石油の枯渇、原子力、新エネルギーなど)に割かれており、後半で危機に瀕している水資源、食糧問題、減少が目立つ水産資源、森林資源と鉱物資源の現状について触れている。「持続可能な発展」という概念が地球科学から提唱されているが、本書を読み進めるうちに、我々が大変厳しい状況を迎えつつあることが事実として明らかになり、この概念について考えることの緊急性と必要性を感じさせられる。(別役 匝)
「データで検証」=一つの見方 2004-08-16
本書はQ&A方式で、「石油はあと40年で本当に枯渇してしまうのか」などの資源や環境問題に関する疑問の検証を試みている。この書き方自体は非常にわかりやすく、全体としては白黒つけ難い問題をうまくまとめていると思う。しかしながら、本書の検証は偏った印象を与えるものもある。例えば石油資源がなくなるかどうかの議論では、人口増加に伴う消費量増加の議論や、よく紹介されるHubbert曲線による分析を含んでいない。読者としてはこれらの議論がどう扱われるか知りたい。検証を行うのであれば、まず前提を明らかにした上で、その分析の範囲・限界も定義すれば、偏った検証という印象をもっと避けることができるのではないか。また、その問題に関連した重要な議論を検証に含まないのであれば、含まない理由を示して欲しい。断定を避ける慎重な結論付けには好感が持てる。
人間の英知たる科学技術を何に使っていくべきなのか 2003-09-13
化石燃料は本当に数十年でなくなるのか、代替エネルギーの可能性は?また食料や水産資源の供給はこれからどうなるのか。環境問題や都市問題として語られる様々な「危機」を、データによって紹介する、たいへんわかりやすい一冊です。もちろん数値にはさまざまな利害組織の思惑が含まれていることも冷静に捉え、しかし私たちが的確な計画をもってこれらの資源を扱っていかない限り、子孫に対して重要な問題を残してしまうことを示唆してくれます。人間の英知たる科学技術を何に使っていくべきなのか、それを問うべき段階に達しているのだと思います。
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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