うるさい日本の私
中島 義道
新潮社 刊
発売日 1999-11
価格:¥460(税込)
騒音への徹底抗議と日本文化論。 2004-11-08
前半は著者の騒音への徹底的な抗議活動のルポ、後半は日本人の物言わぬ体質・問題点にまで迫っていく第一級の日本文化論ともなっている。著者は京都の多くの名刹にも訪れているそうで、その風格・景色とは似つかわしくない、無味乾燥な解説のエンドレステープ音に辟易としたそうだ。私もK電鉄の「カッコー」と延々と繰り返す、耳障りで無意味な鳥のさえずり音に悩まされてたが、抗議を決行する前になくなり、自動改札機付近では駅員さんが肉声で「ありがとうございました。」と一人一人に声を掛けている。私も、著者と同じく吉野弘の「夕焼け」は嫌いだ。本当に優しい心の持ち主なら、永遠に微笑んで譲り続けたらいいし、疲れて座りたくなったのなら、隣の若者に「今度はあなたが譲ったらどうですか?」と一言言ってやったらいい。黙って見ていた詩人の視線も卑怯だ。斯くして物言えぬ多くの日本人のために、注意放送が氾濫することとなる。しかし、こと政治的発言に関しては「住民の静謐な生活を守ることは・・・必要なことであるが・・・国民の言論表現活動は民主主義社会を支える重要な権利の一つである」(埼玉弁護士会HPから引用)ということも忘れてはいけない。そこは是非とも釘を刺しておきたい。著者は度々、共産党や上田哲氏と戦っているが、権力を背景にした音の乱用と戦うと言うなら、寧ろ、自民党や石原都知事などの街頭演説と戦わなければならない。大観衆をつき切り、最前列まで行って堂々と文句を言ってみてはどうだろう?警察に逮捕されることもありうるが、趣旨が分かれば直ぐに釈放されるだろう。氏の活動が大きく報道され、賛同者が増える可能性もあるし、都市騒音への一般の関心を呼び覚ますのにも効果的だと思うのだが・・・。身に危険が及ぶ類には抗議しないという著者には無理であろうか。やはり、小さな風車としか戦わないのか。
発言を抑圧する日本文化 2004-06-15
日本の学校ではおしなべて「質問」がない。教師が学生に発言を求めても、相手を特定して発言を求めない限り何も答えない。電車の中で隣の人のかばんが当たって痛くても、こどもがうるさくても、空調が効きすぎて不快でも、何も言わないのである☆日本人が無口なわけでは決してない。教室での私語に教師は手を焼いているし、公共施設でも交通機関の中でも、盛んにおしゃべりする☆パブリックな場で、他人に対して、プライベートな発言をすることが良くないという”暗黙”の了解があるのだ。それは一度権力者を介して「放送」によって伝達されねばならない☆自分では隣人や車掌に乗り換え駅を聞くことすらできない人のために乗換駅をアナウンスさせ、電車で隣人に「窓を開けて欲しい」と言えない人のために「暑ければ窓をお開けになってください」と放送させ、劇場で「きみたちうるさいよ。ここでは音を立ててはいけない」と自分で言えない人のためにスピーカーで「お静かにしてください」と”騒音”を立てさせる☆騒音問題を解決するためには、日本人は積極的に発言し、相手の言うことを聞き、必要があれば反論するという、「対話する態度」を身につけなくてはいけない。察するのではなく語る、聞くことをしなくてはいけない
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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