地球持続の技術
小宮山 宏
岩波書店 刊
発売日 1999-12
価格:¥777(税込)
環境問題の目指すべき方向性を教えてくれる好著 2005-10-24
地球環境問題、特にエネルギー問題をエネルギー保存則などの
基本的物理理論により一般向けに分かりやすく解説した本です。
身近な事例を使っての説明が多く、わが身を振り返り、考えさせられる部分が多々あります。
特に、人間によるエネルギー消費が分野別にどうなっているかを解説した部分では
素材産業に比べ組立て産業のエネルギー消費が意外に少ないことや、
全エネルギー消費に占める自家用車の割合がかなり高く、物理的には非常に無駄が多いことなど、
結構目から鱗が落ちます。
また、現状のエネルギー効率によって、リサイクルや省エネが無駄であるという論にも組せず、
理論的限界を見据えて、追求すべき技術課題を的確に示している点など、
長期的ビジョンに立った、目指すべき方向性を見事に示してくれます。後はこのビジョンに沿った技術革新によって、2050年には経済活動がどうなるのか、
経済学者による検証に期待したいと思います。
資源問題の基本的な考え方が身につく。 2005-03-20
エネルギー資源の代表格・石油は、今世紀中に枯渇するとされている。こうしたエネルギー資源問題への対策には一般的に、[1]エネルギーをむやみに使わず節約する(省エネルギー)、[2]同じ量のエネルギーを使うにしても、より効率よく使う(エネルギーの高効率化)、[3]太陽光などのクリーンなエネルギーを使う(新エネルギー開発)、といったことが考えられる。
この本でおもに扱われているのは2番目の、エネルギーをいまよりもっと効率よく活かす技術だ。いまの人間活動には、まだまだエネルギーを効率よく使う余地が多くあるという。たとえば自動車。二酸化炭素排出の大きな要因となっている自動車ではあるが、理論的にいえばなんと燃料いっさいなしで走ることができるのだそうだ!(タイヤ・道路間の摩擦で生まれる熱を車の発進時に使えば、燃料は要らなくなるという)。 人間活動を各作業ごとに区分けして比で表すとすると、燃焼、還元は1000、吸熱、発熱反応は100、蒸発、凝縮、膨張は10、融解、凝固、加熱、冷却、分離は1、輸送、形成は0になるという(熱燃焼を100とする)。この数値を知っておけば、自分を含めた社会がしている行為がどのくらいのエネルギーを使っているかを考えることもできる。実体の掴みづらいエネルギーというものを数値として計算できるようになるので、たとえば「リサイクルはエネルギーの無駄づかい」といった話も誤解であることがよく理解できるようになる。 エネルギー問題の基本的な考え方がしっかりと身につく本だ。知っているようで知らなかったことが多いと気付かされる。数字の話もけっこう多く出てくるけれど、どれも無駄な情報はない。逆にこれらの基本的数値を把握しておけば、環境の時代を生きていく上でなにかと優位に立つことができるだろう。とくに、これから素材や製品の技術開発を目指すような方や、環境問題をビジネスチャンスとお考えの方には格好の入門書になると思う。
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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