ニッポン貧困最前線―ケースワーカーと呼ばれる人々
久田 恵
文藝春秋 刊
発売日 1999-03
価格:¥580(税込)
理屈でなく現実を 2004-07-19
心身の傷害、病気、家族との離別などのさまざまな理由によって貧困に陥り、国で決めた最低限度の生活をどうにも維持できなくなった人々に、生活を維持するために必要な費用が毎月現金で支給される。これが日本の公的扶助制度であり、その業務を実際に行っているのが全国に設置された福祉事務所であり、そこで働く人間がケースワーカーである。 不景気になると生活保護の不正受給が問題となる。「甘えているのだ」という受給者への風当たりも強くなる。しかし、この本で紹介されるさまざまな事例で、筆者は個人の意志では振り払えないほどの深い絶望や個々の努力ではいかんともしがたい環境はたしかにあるのだと訴えている。
ニワトリとタマゴ 2003-04-06
日本一億総中流ってのは誰が言い始めたのだろう。いつ頃からそんな風に言われていたのかは知らないけれど、やっぱりウソだったんだな。薄々気づいてはいたけれど。 生活保護というのは、働きたいけれどどうしても働けなくて他に方法がないという場合もあるし、どう考えても税金で養うことに疑問符がつくような場合もあるらしい。もちろん前者の方が多いに決まっている。でも後者だって確実に存在するようなのだ。そのロクデナシにしたって、もしかしたら様様な要因(産業構造の変化とか育った環境とか遺伝とか)でロクでもない生き方しか出来ないのかもしれない。ロクでもないから社会に寄生しているのか、寄生しはじめちゃったからロクでもなくなってしまったのか、まるでニワトリとタマゴの世界で!る。 そんな微妙な問題と日々向き合っている福祉事務所のケースワーカーを細部に渡って細かく取材したのが本書である。福祉の問題はなかなかはっきり意見を述べにくい。なにか事件が起こると真っ先に叩かれるのには胸が痛くなった。 この本を読み終えてもまだ福祉について意見する段階に私は至っていない。でも読んでよかった。これからじっくり考えてみたいと思う。
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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