年金マネジメント・イノベーション―プランスポンサーによる年金ALM
アルンS. ムラリダール
金融財政事情研究会 刊
発売日 2005-05
価格:¥4,515(税込)
今までにはない切り口の良著 2005-06-10
日本では、年金の運用管理は従来リターン競争的な側面があったが、本来それは各企業のリスク選好や負債特性によるべきものであり、たとえばリターンの絶対値を漠然と横比較することはあまり意味がない。近年の運用環境悪化に伴い、リターンを期待しヘッジファンドや不動産に高いリスクだと認識せずに投資した結果、大幅な費用認識や追加の資金補填を余儀なくされたり、極端な結果として年金制度を廃止するケースも散見される。本来、年金は人事戦略の1つであり、重要なのは、いかに将来に亘り安定した制度を運営するか、ということである。これは、年金債務を意識した、まさに本著のテーマであるALMなくしては達成し得ない。この、極めて当り前な根源的目的を再認識させてくれ、且つ実践的な指針も提供してくれる良著だと思う。前半は、企業経営者なども知っておくべき政策的な側面、一方、後半には技術的・学術的な解説も網羅されている。年金運用に携わる者、特に副題にもある通り、プランスポンサーにとって、今まで漠然と悩んできたことに対する解を導く指南書である。この本を翻訳したソニーの方々には、「よくぞこの本を見つけ出してくれた」と、同じ年金運用に携わる者として、最大限の賛辞を送りたい。引き続き日本の年金管理の考え方・手法につき先行的に取り組み、我々をリードしていってもらいたいものである。本当に、大変なご苦労をされて、世に出されたんだと推察します。
稀有な「実務指針」 2005-05-11
最近、本書のような年金・資産運用に関する書籍が多くなってきたが、「資産運用面」にのみフォーカスした内容のもの、また「理論的な」内容で終わってしまっているものがほとんど。
「理論」は分かっても、どう「実践」したらいいのか、、、。
そう悩んでいる人には、本書は他にない「実務指針」としてお薦め。
実務に携わってきた著者が執筆しているだけに、示唆に富むアイデアが盛り沢山。
特に、他の書籍ではあまり言及されることの少ない負債サイドも考慮に入れた内容は、なかなか興味深く、新たな発見が多かった。
また、文系の人間にはちょっと辛い内容の運用理論本が多く挫折することが少なくないが、本書ではグラフなども丁寧に「翻訳」されており、本質的な問題を理解することが出来る。
運用専門家ではなく、企業実務者が訳してる分、訳文が分かりやすいように思うが気のせいか。
最近のGE問題などからも、財務セクションの人も読んでおいてもいいかも。
本書を実践した企業が出てくると、かなり話題になるでしょうね。
資産運用会社のサービスにも少なからず影響を与えそう。そういう意味でもこれからの展開が楽しみな名著。
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この記事は2006/6/6に作成しました。
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